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マンションの屋上を守る!防水の重要性とメンテナンス

マンションを長持ちさせるために防水工事が必要な4つの理由
あなたのマンションで、雨の日に少しでも水漏れや湿気が気になったことはありませんか?これが軽い現象だと思って放置していませんか?
実は、そのちょっとした水漏れが、建物全体に深刻な影響を与えることがあります。マンションの防水工事は、住まいの寿命を延ばすために欠かせない重要な作業です。本記事では、防水工事の必要性や費用、注意点について詳しく解説し、あなたのマンションを守るための情報をお届けします。
水漏れの防止
マンションでは、上階からの水漏れや外部からの雨水浸入が大きな問題です。防水工事を行うことで、これらのリスクを軽減し、居住空間を安全に保つことができます。
建物の劣化防止
漏水は建物の劣化を早める大きな要因です。防水対策が不十分だと、コンクリートや鉄筋が腐食し、ひび割れが進行します。定期的な防水工事を行うことで、建物の寿命を延ばすことができます。
資産価値の維持
防水工事を怠ると、将来的な修繕費用がかさむだけでなく、マンションの資産価値も下がります。適切な防水対策を施すことで資産価値を維持し、将来的な売却時にも有利になります。
住環境の向上
水漏れや湿気の問題を解消することで、快適な住環境を提供します。居住者の満足度が向上し、生活の質を高めることができます。
マンションの施工場所に応じた防水手法と特徴
ウレタン防水(密着工法・通気緩衝工法)
ウレタン樹脂を使用した防水工法で、柔軟性があり、ひび割れに強いのが特徴です。様々な形状に対応できるため、マンションの屋上やバルコニー、共用廊下、階段の改修で使用されることが多いです。一方で、紫外線や熱に弱い性質があり長期間にわたって日光を受けると、劣化が進みやすく、ひび割れや剥がれが発生することがあります。このため、ウレタン防水層には保護層(トップコート)を塗布することが推奨されています。乾燥時間や重ね塗りが必要なため、工期が長くなることも考えられます。
「通気緩衝工法」を採用することで、下地の湿気を逃がせるため膨れを防ぐことも可能です。
シート防水(塩ビシート・ゴムシート)
防水シートを接着または固定して防水層を形成する方法です。大規模な面積に適しており、既存の防水層の上から施工することも場合によっては可能になり、比較的短期間で施工できるのが特長です。ゴムシートやポリ塩化ビニル(PVC)シートなどが一般的に使用されます。通常、耐用年数は10年以上が期待できるため、ウレタン防水よりも長く持つことが考えられます。屋上やルーフバルコニー、共用廊下などの特に広い面積の防水が必要な場合に適しています。
シート自体の材料費や施工に必要な技術が高く、予算との相談が必要になります。外部環境による汚れ(例えば、排気ガスや風雨など)を受けやすく、時間が経過すると表面が汚れることがあります。これを防ぐためには、定期的な清掃やメンテナンスが求められるため、自身の環境に合った施工方法を選ぶことが重要です。
塗膜防水(ウレタン塗膜・FRP防水)
液状の防水塗料であるウレタン塗膜防水、ガラス繊維を組み合わせたFRP防水を塗布することで、防水層を形成します。液体状の材料を直接塗布するため、複雑な形状や凹凸のある部分でも均一に施工ができます。一般的に屋根やバルコニー、外階段、廊下などに使用されます。施工が比較的容易で、複雑な形状の場所にも対応可能な点が魅力です。色や仕上がりも多様に選べるため、デザイン性を重視する場合にも適しています。
湿度や気温などの環境条件に大きく影響を受けるため施工時に湿度が高すぎたり、気温が低すぎたりすると、塗膜が正しく硬化しないことがあり、施工不良が生じるリスクがあります。長期間使用すると表面が摩耗したり、ひび割れたりする可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要です。
アスファルト防水(トーチ工法・熱工法)
アスファルトをベースとした防水工法で、特に大規模マンションや高層マンションの屋上で使用されることが多いです。非常に耐久性が高く、適切に施工されれば20年以上の長期にわたって防水機能を発揮します。特に、高い耐水性と強度を誇り、過酷な環境下でも長期間維持されるため、長期的なコストパフォーマンスに優れています。
一方でデメリットも存在します。シートや塗膜に比べて重く、重厚感のある防水層を形成します。特に屋上などでは構造にかかる負荷が増すことがあり、建物によっては過剰な荷重になる場合があります。これを防ぐためには、構造体に対する強度の確認が必要です。長期の防水効果を発揮しますが、適切なメンテナンスが行われた場合に限るため、定期的なメンテナンスや補修が必要になります。
マンションの防水工事費用
ウレタン防水
柔軟性があり、施工が難しい場所にも適応できるため費用はやや高めですが、長期的な耐久性を考慮するとコストパフォーマンスが良いです。
シート防水
シートの種類によって異なりますが、比較的安価で施工も早いため、多くのマンションで採用されています。
塗膜防水
施工が簡単で短期間で済むため、初期費用が低いですが、定期的なメンテナンスが必要です。
アスファルト防水
耐久性が高く、大規模な面積を一度に施工できるため、長期間にわたるコストを抑えることが可能です。
マンションの防水工事は、別途諸経費が必要です
調査費用
初期調査や診断を行うための費用が必要です。
足場代
高層マンションの場合、足場を組む必要があり、これが追加費用としてかかります。
維持管理費用
防水工事後の定期点検やメンテナンスや点検にも予算を確保することが重要です。
施工業者のプロが教える「マンション防水工事」の費用を抑える3つのポイント
定期点検の実施
劣化が進む前に適切なメンテナンスを行い、小さな問題を早期に発見することで、大規模な修繕を避けられ、コストを抑えることが出来ます。特に鉄筋コンクリート造のマンションでは、雨水や湿気がコンクリート内部に浸透します。これにより鉄筋が錆び(鉄筋腐食)、膨張し、その膨張によってコンクリートが割れたり、剥がれたりする現象が起こります(膨張破壊)。これが進行すると、構造物の強度が著しく低下し、最終的には耐震性が損なわれることになります。
5年ごとを目安に専門業者による定期点検を実施し、日常的に目視でのセルフチェックを行うことで早めに劣化を発見することが可能です。「早めの対策」が結果的にコスト削減につながります。
施工会社の選定
複数の業者から見積もりを取り、費用だけでなく施工実績や評価、保証内容を確認することが大切です。「とにかく安い」だけで選ぶと、施工品質が低く、すぐにやり直しが必要になるケースも存在します。
水漏れの原因を特定するのが難しい場合もあるため、施工業者の選定も大切なポイントです。マンションの防水が劣化していると、どこから水が浸入しているのかを特定することが困難になります。水漏れが発生した場合、浸入経路を追跡する技術(赤外線カメラ、電子探査機器など)が必要になることがあります。これらの調査には費用と時間がかかるため、最初から防水工事を行っておく方が結果的にコストを抑えることになる場合もあります。
長期的な視野で考える
初期費用を抑えることも重要ですが、耐久性やメンテナンス性を考慮し、長期的な維持管理費用を含めて総合的に判断することが重要です。
水漏れが頻発し長引くと、エレベーターの機械室や配管システムに影響を与えることがあります。特にエレベーターの配線や制御機器は水に弱く、浸水するとショートや電気系統の故障が発生します。さらに、これらの設備が水にさらされると、その修理や交換が非常に高額になることが多いです。
初期費用だけを考えるのではなく、耐用年数や施工場所に応じた工法を選び、長期的なメンテナンス計画を立てることで、結果的にトータルコストを抑えることが可能です。
マンションの防水工事後のメンテナンスと注意点
定期点検と劣化の兆候の確認
マンションの地下や基礎部分にも防水対策が必要です。地下室や地下駐車場が水に浸かると、土圧や水圧によって、構造物が押し潰される危険性があります。また、地下に浸透した水が基礎部分を腐食させることで、建物の沈下や傾き、ひび割れが生じることもあります。特に地下構造物に対する防水が不十分だと、長期的に浸水による土壌の膨張収縮が起き、最終的には建物全体の安定性が損なわれることがあります。そのため防水工事後は、定期的に点検を行い、ひび割れや剥がれ(防水層の浮きや破損)、水たまりや排水不良(勾配が崩れたり、ドレンが詰まっている可能性)、水漏れなどの劣化の兆候や損傷を早期に発見することが重要です。特に雨季や台風シーズン前に点検を実施しましょう。
適切な清掃と維持管理
屋上やバルコニー部分に防水が施されていない、または劣化した状態で放置されると、防水層が剥がれたり、劣化スピードが早くなり、水密性が失われ、構造部分に浸水するリスクが高まります。また、バルコニーの床下や階下への漏水も引き起こし、下階の住民や設備に深刻な影響を与える可能性があります。
バルコニーや屋上の落ち葉や砂埃を定期的に取り除き蓄積を防ぐことや、排水口(ドレン)の詰まりを防ぐことで、劣化を防ぎます。バルコニーや屋上は、入居者が物を置きすぎると水はけが悪くなるため、できるだけ整理整頓を心がけることが大切です。適切な維持管理を行うことで、防水層の寿命を延ばしましょう。
専門業者への依頼
防水工事に使用する材料(防水シートや塗膜)によっても、劣化の仕方が異なります。例えば、アスファルト系防水材は紫外線や温度変化に弱いため、年数が経過すると表面が割れたり、剥がれたりすることがあります。また、ウレタン系防水は柔軟性が高い一方で、紫外線やオゾンに曝されると徐々に劣化し、亀裂が入りやすくなります。
適切な資材を選ぶためにも、防水層の補修やメンテナンスが必要な場合は、信頼できる専門業者に依頼することが重要です。専門知識と技術を持つ業者による適切な対応が、長期的な効果を保証します。
まとめ
マンションの防水工事は、住環境を守り、建物の寿命を延ばすために欠かせない作業です。定期点検で問題を早期発見し、適切な清掃と維持管理を行いましょう。専門業者に依頼することで、長期的な効果を確保し、安全で快適な生活を支えます。