厨房漏水対策完全ガイド|原因・調査方法・工事の進め方

レストランの厨房

厨房の漏水は、階下への被害や衛生トラブルを引き起こし、営業停止や高額な修繕費につながる恐れがあります。特に飲食店や食品加工施設では、防水構造の不備や経年劣化、誤った改修方法が原因で漏水が発生するケースが後を絶ちません。

本記事では、漏水しやすい厨房の特徴、原因特定の方法、適切な修繕工事の進め方をわかりやすく解説。

営業を止めずに防水改修を行うためのポイントや注意点もご紹介します。

目次

厨房漏水の現状と背景

天井からの水漏れ

新規厨房防水工事、また厨房防水改修工事の設計、提案、工事一括管理までを請け負っている業務とは別に、当社が施工していない厨房からの漏水案件について、神奈川県内だけでも毎月10件以上のご相談が来ていた時期がありました。

新築の場合、レストラン、飲食店、フードコート、セントラルキッチンなど食を支える重要なエリアである調理場いわゆる厨房設計は、テナント(エリア)運営側のコンセプトや思惑だけではなく建物管理運営側の条件によって仕様内容を検討しなければならないため使用材料、工法が異なることはとても珍しいことではなく一般的です。

漏水が発生しやすい厨房の特徴

パソコンによる契約

以下のような条件を満たす厨房では、漏水が発生するリスクが高くなります。

  • 居抜きが繰り返されている、または使用年数がとても長い
  • 間違えた改修工事方法で工事を進めてしまった
  • 設計の段階で、使用環境と衛生面を考えていなかった
  • うっかり防水欠損に繋がることを行ってしまった
  • 遊びをした

たまに見受けれるのが意外な③「設計段階の不備」。
簡単に言えば厨房防水は「舟」を作るように防水層を床から必要高さまで立ち上がっていなければならないところ、必要高さに届くことなく従業員が水洗いしたらほとんどの水が防水区画から流れ落ちていく、という現場がけっこう多いです。

①の場合はダントツトップで最初(初期)の厨房防水設計図(仕様書)が残っていないことが多いため、非破壊調査(床内部状況の確認)と破壊調査(Φ10㎜で穿孔)を行うと最近では見られないような構造をしていることが多々見られます。

階下に漏水した場合の初期対応

木造の床の水漏れ

階下に漏水するというのは結構気まずいですよね。なんたって何の水が漏れているのか当事者も分からなければ、被害を受ける階下の人たちはさらに想像できるわけもなく単純に恐怖です。

でも慌てずにまず、漏水している水の色匂いを確認しましょう。透明で無臭であれば給水管関係から漏水している可能性がありますので一度、水道業者を呼んで給水本管から引き込んでいる枝管の圧力試験とメーターの確認が必要です。

給水管系統の確認方法

水道管からの水漏れ

1)漏水しているであろう該当フロアにあるすべての蛇口を完全に閉めて、メーターのコマ(銀色)をよく観察してください。動いていればどこかが破損している可能性があります。これはメーターの位置さえ知っていればプロじゃなくても確認できます。

2)水道業者を呼んで圧力試験を行うことで、漏れがあれば減圧し漏れが無ければ一定の圧力を指したままになります。

給水管以外が原因の場合

設計する男性2名

決まった時間にしか漏水しない。または漏水量が多くなる。

決まった時間にしか漏れなければその時間、何をしているのか、なんの設備が動いているのかを推測してください。

床清掃の時が濃厚であれば、防水層の立上り高さが不十分か防水区画を超えてしまうような大げさな水洗いをしている可能性があります。その場合は、清掃方法の見直しを行い漏水が収まれば今後の対策を絞ることが出来ます。

常に漏水している場合。または一定量が漏水している。

常に水のある場所を見つけてください。例えば水はけの悪いグレーチング(側溝)やGT(グリストラップ)、リーチインの周辺や製氷機のまわりなど。

また、厨房防水区画外部を確認しましょう。立上と床の入隅から水が出ていることや横引きの配管周りが湿潤状態でないかよく観察してください。

たまに厨房の防水区画が隣接するトイレの防水区画と同じエリアになっていることもあるのでその場合はトイレも確認する必要があります。

工事前の段取りと原因特定

工事現場で握手する男性

工事に着手する前に、B工事またはC工事のどちらに責任があるのか見極めることが重要です。また、漏水しているからと言ってむやみにすぐ工事に動くことはお勧めしません。エリア原因を追究することが大切です。

厨房の防水区画内から漏水しているのか(防水層の劣化)設備配管の問題なのか、いずれにしても調査が必要です。

厨房防水区画の防水層の劣化を直接目視確認することは非常に難しいですが、厨房の床下に紫外線反応材(無色透明)の水溶液を流し込み、時間を置いて階下の天井からUVライト(ブラックライト)を照射し反応すれば、残念ながら厨房防水の不具合ですが、的確な段取りを進めることで階下の皆様に報告をして今後の対応を真摯に説明すればお互いの信用に繋がります。

是正工事の考え方

店休を選択しリノベーションにかかる費用と、売上の損失を合計するとかなり高いコストがのしかかってきます。また階下の天井裏に吸水シートを設置してもドレンパンを設置しても、根本解決にならないため関係性に暗雲が立ち込めることが明白です。出来ることなら、厨房業務を止めることなく設備の移動も最小限にした防水工事を行うことがコストバランスを見てもかなりリーズナブルにまとまります。

たいていの厨房構造に対し、正しい調査とヒアリングをおこなえば分割防水工事ができるので、信頼できる専門業者に問い合わせることをお勧めします。

営業を止めない工事の留意点

ポイント

営業を止めずに工事をする側にはもちろんリスクが伴います。とにかくリスキーです。ご理解ください。フライヤーを動かすのも一苦労で、リーチインを動かすのもハードルが高いです。

冷蔵庫、冷凍庫の電源を復旧し忘れた日には中にある食材をすべて弁償しなければならないので神経がすり減ります。そのため適切な工事計画を立てるために、工事前の抜かりない現場確認と事前準備を徹底しています。

  • 厨房床下配管を傷つけないように予めコンクリートスキャンを使用して危険個所を回避
  • 万が一のためにも給排水の本管と給水管のバルブ位置開放度合を血眼になって探します。
  • ガス管の設置位置確認
  • GT、グレーチング、排水枝管の種類位置を確認
  • 上下階の営業時間を確認
  • 取合外し可能の什器と取付方法を確認
  • 24時間いつでも出動できる近隣の水道、ガス工事業者を複数ピックアップして事前連絡

など確認事項は幾重にもわたりますが、これらを一つ一つ丁寧に迅速に進めていけば滞りなく階下への被害を食い止められ信頼関係を構築することが可能になると思います。

まとめ|厨房漏水は迅速な原因特定と的確な工事がカギ

サマリー

厨房の漏水は、店舗運営に直接的な損失を与える重大な問題です。立地環境や運営業種(居酒屋、レストラン、ファストフード、カフェなど)によって「店休」とは売り上げられない「損失」。

バックグラウンドが大きい企業でも店休は多かれ少なかれマイナスです。そこをよく理解して、迅速に対応できる業者は多少わがままでも許してやってください。

それでも確実に漏水を解決します。

  • URLをコピーしました!
目次