温泉・浴場の漏水を防ぐには|よくある原因と防水工事の実例

浴場施設の漏水は、他の建物以上に発生しやすいといわれます。

常に「温水浸し」の状態にさらされ、防水層や配管まわりが劣化しやすいためです。特に大浴場や温泉施設では、防水工事を行っても再漏水するケースも少なくありません。

本記事では、浴場施設に漏水が多い理由や実際にあった事例、さらに是正方法や業者選びのポイントまで解説します。浴場の漏水に悩む管理者・運営者の方はぜひ参考にしてください。

目次

浴場施設で漏水が多い理由

パソコンによる契約

もちろんというか、やっぱりというか浴場施設の漏水はかなり多く、清掃時間以外はほぼ休みなく常に水浸しならぬ「温水(おんすい)浸し」なので不具合箇所は点在するでしょう。

例えば

  • 旅館
  • ホテル
  • 保養所+独身寮(社宅)
  • ゴルフ場のクラブハウス
  • 温泉施設
  • 銭湯
  • スパ

などが挙げられます。 

③の福利厚生施設に大浴場があるケースでは、他の施設に比べて多くは無くてもやはり「温水浸し」の時間はある。

なぜ「温水浸し」を強調するのか

ポイント

広い浴場の構造をご存じの方も多いと思いますが、使用している防水材はほぼアスファルト防水です。

他の防水材に比べて熱にも強く水にも強い。圧倒的に歴史のある人類最古の防水材なので世界を見渡しても建物の屋上防水に頻繁に使用され続けている最強の材料です。

ただし浴場施設は循環パイプや給排水管など様々な設備配管がいたるところに張り巡らされていること、つまり配管周りの「防水の納まり」が屋上と比べても多いこと、さらに温水が通る配管の材質と周辺の部材の熱収縮率が違うことから早いスピードで脆弱しやすいように感じます。

きっと常温水より汚れを落とす「お湯」の効果も手伝っているのか?ということから「防水の納まり」箇所の経年劣化スピードが著しく速く漏水を引き起こしている可能性が高いです。

過去にあった失敗

二重防水。空中階に大浴場がありその浴槽の直下である階下に「一夜にして10tもの水が浴槽から消えて無くなる」現象が発生しているとのことで防水工事を営業時間外に実施しました。

浴槽の立上り躯体はよくあるCB(コンクリートブロック)。床から防水層を立上りを巻き込む仕様で仕上げは笠木とも角タイル張り。タイル目地が5㎜幅なので目地の交点から防水層へダイレクトに液体防水材を圧力充填し、4日かけて浴室全面を防水したが完了当日に再漏水(失敗)。

その後、何度か同じアプローチをおこなったが同じように再漏水が発生しました。

矩計図をチェックしたが当初の防水計画に問題はないはず、と思いながらどこに原因があるのか現場であれこれ調査を行った結果、スラブ(床)が通常より厚みがあることが判明。さらに防水層が二重になっていることも明らかになりました。

ところが真相はそれだけでは片付かず、よくよく考えてみればヒアリングの際に聞いていた「一夜にして10tもの水が浴槽から消えて無くなる」現象であれば言わずもがな階下は大洪水になるはず。

ただし現実は10秒に1滴程度の水が出てくるだけで天井裏には吸水シートを設置する程度で内装に影響を及ぼすほどではなかった。10秒に1滴程度とはいえ確かに浴室から漏水していることも事実であり、「一夜にして10tもの水が浴槽から消えて無くなる」現象も自分の目で確認しました。

「出てくる水量と水の浸入経路の大きさは比例する」

階下の天井スラブから漏水することを解決したのち、水張試験を行った結果やはり「一夜にして10tもの水が浴槽から消えて無くなる」現象は変わらず。

「出てくる水量と水の浸入経路の大きさは比例する」ことを考えながら再度、水張をおこない現場の音を確認したら排水管内をチョロチョロ水が流れる音が聞こえたためまさかと思って浴槽内の「排水栓」を観察したら金属性の排水栓の蓋が摩耗していることに気付き、急遽代替品を装着してみたら減水が収まった。

ここまで読むと「最初からそこを疑えよ」とツッコみたくなるが、なかなかそこに辿り着けないのが現場の「あるある」。

今後、浴槽から水がありえないぐらい減る現象に出くわしたらまず、排水栓の材質と形状確認さらに正しい設置を試みることをお勧めします。

長年、防水工事と止水工事に携わっていると盲目になりやすく、まるで仙人であるがごとく分かった気持ちで十分に確かめもせず計画すると結果的にお客様にダメージを与えることになることをその現場で学んだ。

結果的に減水現象と漏水現象のどちらも解決したが3日間も延長することになり管理運営の企業様に多大なご迷惑をおかけする形になってしまったのが20年以上前のこと。その後の工事に反省を活かしています。

是正方法

工事現場の男性

営業時間外に是正、保全をおこなえる防水工事はなかなかありません。

通常の在来工法では仕上げの御影石やヒノキを撤去し、元々の防水層をやり替えるしかなく他の工法(手立て)はありません。

また、屋上や駐車場で圧力充填による「特殊止水」のノーマルバージョンでは後々、御影石に影響を及ぼす可能性もあるため防水材料の選定は慎重に行う必要があります。

従って、なにかの一つ覚え的な考えで「とにかくなんでもいいから充填すればいいんだろ」と勇み足で工事をおこない失敗した業者の後始末をなぜか相談されることが多いので物事は慎重に進めることが最善です。

まとめ|浴場施設の漏水を確実に止めるために

サマリー

確かに当社では過去に再漏水を発生させてしまったケースがありましたが、最終的に漏水を止めてその事案をケーススタディとしているため現在に至るまで問題なく防水工事が出来ています。

一瞬的な防水の成功と永続的な防水の成功を選ぶなら後者であり、そのためにも事前情報の収集、確かな観察力とヒアリングによる調査、さらに豊富な過去実績で得る順応性が必要不可欠です。

浴室の漏水是正は一筋縄ではいかないのがセオリーだということを思い知るいい経験であり、今後に活かされる知見と知識を十分に持つことが出来たがおそらくまだまだたくさんの知らない漏水現場があるのでは無いでしょうか。

ぜひお役に立てられればと思います。

その漏水、KANA TECHSなら確実に止めます。

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